2016 年 9 月 15 日 「危なーい!!」

営業部長の林です。

 

 

何事もない平穏な日常が
怒号と悲鳴の入り混じった修羅場に変わる瞬間。

 

それは、羽田空港に到着し、
京急線に乗ろうとホームに向かう道すがらの出来事でした。

 

改札を通ったあと、長いエスカレーターで
地下にあるホームに降りていきます。

 

エスカレーターは上りと下りが
隣り合ったよくあるタイプ。

 

混み合ってるわけでもないけど、
人気がないわけでもない。

 

空港とあって、
大きなキャリーバッグを
ガラガラ転がしてる人が沢山います。

 

そんな人々を横目に、
「荷物多いしガラガラで来れば良かったな〜」
などと考えながら、
下りのエスカレーターに足を乗せました。

 

スーと下っていき、
真ん中あたりに差し掛かった時です。

 

斜め後方から平穏を引き裂く叫び声が!「危なーい!!」。
その直後「キャー!」「うゎー!」という
恐怖におののく人々の悲鳴、怒号。

 

尋常ならざる空気の変化に慌てて振り返ると、
海外旅行用の特大のキャリーバッグが
不規則にバウンドしながら
隣の上りエスカレーターを
落ちていきます。

 

「ガイーン、ゴチーン」

 

スペインの牛追い祭りを彷彿とさせる光景。
中ほどまで上ってきてた人は
どうにか軌道を読み、身をよじってかわし、
下の方にいた人は逆走して逃げる。

 

隣のレーンでの出来事だったので
私のいる下りレーンには
被害は及ばなかったものの、
こっちに飛び込んできてもおかしくないほどの弾みっぷりに戦々恐々。
まるで悪夢。

 

・・・結局、混み合ってなかったことが幸いし、
怪我人も出ずに事なきを得たんですが、
あわや大惨事、まさに危機一髪でした。

 

さあ、問題はキャリーバッグの持ち主です。

 

そこにいた全ての人々の
怒りの視線を一身に浴びながら
「すみません、すみません」と言いながら
階段を駆け下り、バッグの回収に向かう姿。

 

私と同世代ぐらいのビジネスマンでしたが、
とても見てられない取り乱しようでした。

 

もちろんワザとではないし、
ほんのちょっとの手元の狂いだったんでしょう。

 

彼の様子から、
みんなそれは分かっているんですが、
それにしてもこのシャレにならない状況を
作り出してしまった事には苦言を呈さずにいられません。

 

「バカヤロー」
「殺す気か!」

 

まさに針のむしろ・・・。

 

 

そのあと電車の中で冷静さを取り戻すとともに、
改めてゾッとしました。

 

自分もいつ彼の立場になっても
おかしくないぞ・・・と。

 

だって彼の直接のミスは、
手元が狂ってキャリーバッグを
手放してしまった事。
本当にケアレスミスです。

 

ポロっとケータイを落としたり、
製氷器を斜めに持って床に水をこぼしてしまったり・・・。

 

のちの被害を考えると決して同列には扱えませんが、
手元の狂い加減でいえばそのぐらいの事でしょ?

 

だから怖い。

 

危機管理とは、
「万が一の事態」ではなく、
「必ず起こるミス」への備えだ。

 

ある危機管理のスペシャリストが
そう言っていましたが、
まさにその言葉を噛み締めた出来事でした。