2016 年 9 月 26 日 泳いでる魚は新鮮?
営業部長、林の記事
「皆さんに最高にイキの良い魚を
ふるまいましょう」
そう言って社長が合図すると、
板前が大きな生け簀(水槽)から
魚をすくい上げ、
生きたままさばき、活き造りにする。
「こんな新鮮な魚、
皆さんは普段食べられないでしょうから、
どうぞ存分に召し上がって下さい」
成金社長がメディア関係者を集めての
新店レセプションでの出来事。
社長のぞんざいな物言いに「イラっ」
とした山岡士郎がその刺身を一口食べて
こう言います。
「こんなモノを『新鮮だ、プリプリだ』と
言ってちゃ 底が知れるよ」
「なにぃ?」
憤慨する社長。
「何だお前は。直前まで生きていたんだぞ。
これ以上新鮮な魚があるわけないだろ!」
「やれやれ。じゃあオレがもっと新鮮な魚を
ごちそうしますよ」
そして後日。
社長の元に士郎が現れます。
「お待たせしました」
「ん?どこにも生け簀がないじゃないか・・・」
「そんなものは必要ありません」と、
持参したクーラーボックスのフタを開けると、
そこには死んだ魚が。
「な!ふざけてるのか?
死んでるじゃないか!
こんなものが新鮮なわけ無いだろ!」
「まあまあ、論より証拠。
まずは召し上がってみて下さい」。
そしてその死んだ魚をさばき、
社長の前にさしだす。
「全く、とんだ茶番だ。
こんなものが新鮮なわけ・・・
ん?!
なんだこの歯ごたえは!
これに比べたら私の魚は
ベチャベチャでハリがない。
どうなってるんだ?!
なぜ直前まで生きていた魚より
死んだ魚の方が新鮮なんだ!」
「その原因はストレスですよ。
社長、あの生け簀の魚はいつ水揚げしたものですか?」
「3日ほど前だが・・・」
「その間エサは与えましたか?」
「どうせ食べてしまうのに
与えるわけないだろ・・・」
「考えてみて下さい。
育った海と全く違う環境に突然放り込まれ、
食べ物も与えられずにただただ生かされてる。
そんな大きなストレスを受け続けた魚が
海で泳いでた時と同じコンディション
だと思いますか?」
「うーん・・・」
「オレが持って来た魚は、
今朝水揚げされたもので、
獲ってすぐに船の上でシメました」
「シメる?殺すのか?!」
「そうです。
つい今まで生きていた
最高の鮮度を維持するには、
ストレスを与える間も無く
シメてしまうのが一番なんです。
血抜きなど適切な処理をしておけば、
生臭くなることもなく
こうして半日ぐらい経っても
獲れたての鮮度を味わえるんです」
「うーん・・・。いや、参った。
どうやら私は
見てくれや派手なパフォーマンスに
気を取られて、
大切なところがポッカリ抜け落ちていたようだ。
目が覚めたよ。
山岡さん、どうか私の非礼をお許し下さい」
「いえ、オレの方こそ、
でしゃばったマネをしました」
「これからは、
本質を踏まえた事業をして行くよ!」
「頑張ってください。応援しますよ!」
めでたしめでたし。
うろ覚えなので、
随所に記憶違いがあると思いますが、
食をテーマにした社会派漫画
「美味しんぼ」の中の一話です。
「生きているから新鮮だ」
という固定観念に鋭く斬り込み
パラダイム(価値観)を一変させられるお話です。
人が「当たり前」と思っていることを覆す。
これはプロモーションや広告を作る際にも
有効なアプローチです。
・温泉は体に良い・・・と本気で思ってます?
・「食後の運動」が太る一番の原因って知ってます?
・織田信長は本能寺で死んでいない?
「そんなバカな」
と思いながらも、続きが気になりませんか?
常識だと思っていたことに風穴を開けられると、
その穴を埋めずにはいられなくなる。
これは根深い行動心理です。
これを有効に活用したければ、
まずは見込客や顧客があなたの商品やサービス、
さらにその業界に対して、
「どんな常識(先入観)を持っているか?」
をリサーチすること。
このリサーチの精度が、
メッセージの刺さり具合に
大きく影響を及ぼします。
リサーチの方法は・・・
機会があればまたお伝えします。