2015 年 8 月 17 日 最新ミステリー「小さな鳥居」
博多のオフィスより
おはようございます!
PR39の林です。
お盆休み。
久しぶりに地元の友人と会い、
学生の頃によく通った山道をドライブしていたとき、
急に友人がしゃべり出しました。
「もう少し行ったら右側に広い路肩があるやろ?
昔から夜になると、そこに色んな車がよく停まっとったんよ。
観光客が通る場所でもないから、
『こんな遅い時間になんしよるんかな?』
て、いつも思っとったんやけど。。。
ある時期から、あまり車を見かけんくなったんよ。
んで、その広い路肩をよーく見てみたら、
奥のほうにひざの高さぐらいの、小さくて真っ赤な鳥居ができとってね。。。
その鳥居ができてから、そこに停まる車がパタリと途絶えてしもうたんよ」
そこまで話を聞いたところで、
その路肩の横を通りました。
恐る恐る言われたあたりを見てみると、
確かに小さな鳥居がひっそりとたっていました。
正直、ちびりそうでした。
全然そんな空気じゃなかったのに、
急にそんな話された上に、
現場リアルに見ちゃったし・・・
鳥居、ほんとにあるし・・・
そして友人が再びしゃべり出します。
「・・・で、あとから聞いてみたら、
車が消えたのと鳥居ができたのにはやっぱり因果関係があったらしくて・・・
実は、鳥居がある場所の向こうがちょっとした崖になっとってね、
鳥居ができる以前は、車を路肩に停めた人がその崖から・・・
粗大ゴミを不法投棄しよったらしいんよ」
?
おやおや?
「前は『ゴミ捨て禁止』っていう看板を立ててたらしいんやけど、
全然効果がなくて、バンバン捨てられよったんやって。
んで、土地の持ち主がどこかで情報を仕入れてきて、
鳥居を日曜大工で作って据えてみたところ、
不法投棄がパタリとなくなったんだってさ」
多分この友人は、
誰かとそこを通るたびにその話をしているんでしょう。
さりげない導入部分。
ちりばめられたミステリー。
ヤマ場の臨場感と緊張感。
意外な展開と鮮やかなオチ。
話し始めるタイミングから計算しつくされた話に、
ちょっと感心しつつ、イラッとしつつ、
考えさせられました。
ポイントは、
「加害者側」の立場になって考えている点です。
彼らが何をされたら一番嫌がるか?
「ゴミ捨て禁止」というメッセージは、
誰も見ていないことの裏返しで、
バレなければおとがめなし。
彼らからしたら、
「ここに格好のゴミ捨て場があるよ」と教えてもらってるようなものなんでしょう。
でも、鳥居の向こうにゴミを捨てるとなると、話が違います。
どんなバチが当たるか分からない。
得体の知れない不安、恐怖がつきまといます。
伝える内容は同じでも、
伝え方ひとつで、結果は大きく違ってくる。
赤い鳥居しかり、友人しかり。
勉強させていただきました!
追伸.
「鳥居 不法投棄」でググってみたら、
ココ最近流行ってるらしくて、
立ち小便防止にも威力を発揮しているそうな・・・。
でも、大々的にひろまっちゃうと効果が薄れそうなので、
ひっそり流行ってほしいけど、
この手の話はついついしゃべっちゃうんですよね・・・。