2015 年 9 月 17 日 「しゃっけい」で売上倍増
某出張先のカフェより
おはようございます!
PR39の林です。
日本庭園の造園技術のひとつに、
「借景(しゃっけい)」があります。
縁側などから見たときに、
庭とその向こうの景色をマッチさせ、
無限の広がりを感じる空間を創造するという、
日本が世界に誇る技術です。
景色を借りる。
この「借りる」という感性が、
奥ゆかしくて素敵ですね。
・・・などと、
朝からはんなりしたテーマを持ち出したのは、
シルバーウィーク前で浮かれているからではありません。
私のお客さんで、
ランチの売上を倍増させた定食屋さんがあります。
しかも、たったひとつ「あること」をしただけで。
それは、借景を鮮やかに応用した手法でした。
そのお店は、
郊外の大きな国道沿いにあります。
ある日、大将に呼ばれてお店に行くと、
浮かない顔をしています。
話を聞いてみると、
「ランチの集客が今ひとつなので、
なにかいい方法はないかなぁ」
という、ど直球のお悩みでした。
店舗があるのは、
郊外とはいえ交通量の多い国道沿い。
決して悪い立地ではありません。
ただ、そういうエリアの特徴で、
通り沿いにはファストフードやらファミレスやら、
巨大フランチャイズがひしめき合っています。
派手な看板やCMでのマス戦略の前では、
個人経営のその定食屋さんは、
とても地味で存在感がありませんでした。
「やっぱ駐車場2・3台分つぶして、
10mぐらいの独立看板とか
立てた方がいいんですかね?
クルクル回ったり、キラキラ光るやつ・・・」
「とりあえずマックと王将にやられてるんだな」
ということが見てとれました(笑)
まあ派手な看板立てて、効果無くはないでしょうけど、
そもそも思いつきで大手のマネをすると痛い目にあいます。
そんな甘いもんじゃありません。
じゃあ、どうするか?
実は、この定食屋さんの立地には、
もうひとつ大きな特徴がありました。
隣に大きなパチンコ店があったんです。
しかも、超繁盛店。
「パチンコ屋さんのお客さんは呼べないんですか?」
と尋ねると、
「パチンコ屋からは死角になって店舗が見えないから
なかなか気付いてもらえないんです」
とのこと。
外に出てパチンコ店の方に回って見てみると、
確かに絶妙な壁の配置などにより、
パチンコ屋さんからは「食べ物屋がある」とは
認識しにくい感じになっていました。
「大将、ついてないなぁ・・・」
と思いつつ、
ふと国道側に視線をうつすと、
あるものが目に飛び込んできました。
これだ!
その場で大将に提案し、
「そんなに安くすむなら全然構いませんけど・・・」
と、半信半疑ながらも了承をえて、
すぐにあるものの製作にとりかかりました。
結果的にそのあるものが、
パチンコ店のお客さんを呼び込むことに成功し、
ランチの売上を倍増させることになったんですが・・・
答えを見る前に頭の体操です。
ちょっと考えてみて下さい。
あるものとは何でしょう?
ヒントは、
今日のテーマ「借景」と、
パチンコ店の道路沿いによく並んでいるものを思い浮かべると、、、
わかりましたか?
あるものの正体は、のぼり。
しかも、ジャンボサイズの。
パチンコ店ののぼりって、
サイズがデカいって知ってます?
特に郊外の店舗だと、
店舗自体も大きいし、駐車場も広いから、
のぼりもそれに合わせてジャンボサイズ。
でもそれ以外のお店では、あまり使いません。
店舗とのスケール感が合わないし、
かさばるからです。
でも、今回はあえてジャンボサイズで作りました。
「Pこちら パチンコ屋の店名」
という文言のシンプルなのぼりは、
パチンコ店の道路沿いに等間隔に立っています。
当然その列は、定食屋さんの前で途切れます。
その途切れた続きから、
等間隔で3本立てさせていただきました。
文言は
「Pこちら 定食屋の店名」
等間隔に並ぶのぼりのおかげで、
二つのお店が一つの景色にとけ込み、
お客さんは勝手に
「このパチンコ屋、食べるところもあるんだ」
と都合良く解釈してくれたというワケです。
どうです?
解けましたか?
それではまた次回。
追伸.
美しい「借景」をけがしたみたいになって、
なんかすみませんでした。
あと、PR39はのぼり屋さんではありません。
(言われれば作るけど)
のぼりの注文が殺到しても困るので、あしからず。