2015 年 10 月 29 日 買えなかったプリンター
博多のオフィスより
おはようございます!
PR39の林です。
ジョイントベンチャー。
最近、よく耳にするようになってきた言葉ですが、
あなたはご存知ですか?
お互いの強みを合わせることで、
弱みを補いあい、より高いソリューションを提供するビジネスモデル。
簡単に言うと「事業提携」。
例えば、
美容室の待ち時間にネイルのサービスを提供するといったモデル。
美容室とネイリストのジョイントベンチャーです。
美容室は髪だけでなく爪のお手入れもすることで、
お客さんの「美」に対する提案の幅が広がります。
他店との差別化にもなるでしょう。
ネイリストは、売上の何割かを美容室に手数料として支払うかわりに、
自分で店舗を構えたり宣伝したりすることなく、
お客さんを獲得することができます。
お互い、しっかり取り決めをして臨めば、
少ないリスクで、最大級のリターンを得ることができます。
ただ「より高いソリューションを提供する」の部分を
なおざりにすると、痛い目を見ます。
つい最近のことです。
自宅のプリンターを買いかえようと思い、
近所の家電量販店に出掛けました。
前もってネットで調べていた商品があって、
ネットだけでは細かいスペックが分からないので、
プロに聞いてから買おうと思っていました。
急いでいたので、ネットじゃなく、お店で買おうと決めていました。
自分でいうのもなんですが、優良なお客です。
私がプリンターのコーナーで目当ての商品を見つけた、
絶妙なタイミングで店員が声を掛けてきました。
「プリンターをお探しですか?」
いつもなら張り付かれるのは好きではないのですが、
今回は買う気満々。
何なら、この店員と話をするためにここに来たようなモノです。
ハキハキしていて、さわやかで好感の持てる若者です。
気に入った!
「そうなんですよ。これなんですけどね」
「そちらはオススメですよー」
「そうなんですか。えっと、プリントサンプルはありますか?」
「サンプル・・・ですか?少々お待ち下さい」
といって少し離れた場所にいた別の店員の元へいき、なにやら尋ねている様子。
配属されて間もないから、どこに何があるとかその辺はまだ不慣れなんだろう
と思って待っていると、
「お待たせしました。こちらがプリントサンプルになります」
といって、プリンターのすぐ隣にあった冊子を手渡してくれました。
「ああ、ありがとうございます。へえ、結構キレイにでますね」
「そうですね」
「この顔料インクと染料インクではどう違・・・」
「お客様、携帯電話はどのキャリアをお使いですか?」
「え?・・・◯◯ですけど」
あまりに唐突に話が切り替わったので面食らいましたが、
プリンターと互換性があったりするのかなと思い、
キャリア名を答えました。
すると
「今ですねー、キャンペーンを行っていまして、△△に乗り換えていただきましたら、
ご自宅のインターネットと携帯料金がセットでお安く、しかも定額になるんですよー」
「・・・はあ、、、」
「こちらのチラシに詳細が書いてありますので、
よろしかったらご検討下さい。
それではごゆっくりどうぞ~」
そして彼はさわやかに去っていきました。
「・・・」
なんのことはない、
家電量販店と携帯販売代理店とのジョイントベンチャーです。
代理店は家電量販店に手数料を払って、
見込み客に手当り次第に声をかけてキャンペーンの告知をします。
店員になりすまして。
家電量販店は、代理店からの手数料で儲かるというわけです。
当然ですが、私はその店でプリンターは買いませんでした。
そしておそらく、いや絶対間違いなく、
この先、一生そのお店に行くことはないでしょう。
誰かが電化製品を買うときに薦めることもないでしょう。
むしろ「絶対に行くな」と言うかもしれません。
この戦略の敗因は、
「より高いソリューションを提供する」
が欠けていたこと。
私が抱えていた問題は「プリンターの詳しい情報を知りたい」だったので、
それを説明できる本物の店員さえあてがってくれれば良かったのです。
もし、ここにジョイントベンチャーを入れるなら、
この本物の店員が次のように提案するべきです。
「ところでお客様、プリンターを使われるということは、
パソコンを使われますよね。
実は今、当店だけで行っているキャンペーンがございまして、
インターネットの料金を、
煩わしい工事も初期手数料もなく、
月々最大2,000円、年間24,000円もの削減ができる
ご提案をさせて頂いております。
よろしければあちらのコーナーでお話しを聞いてみられませんか?
これは、当店だけのサービスクーポンで、
あちらのスタッフにお渡しいただけると
さらに月々最大3,000円のコストカットが可能になりますので、
ぜひこの機会にご利用下さい」
(もちろん、プリンターに関する私の問題を解決した後に、ですけどね)
私たちがモノやサービスを売る上で、
常に肝に銘じておかなければならないことは、
「誰のためのモノやサービスか?」ということです。
はやりのジョイントベンチャー。
大いに結構です。
でもそれを「手っ取り早い儲け話」と混同していると、
取り返しのつかない痛手を被ることになるので、
注意が必要ですね。
追伸.
ノベルティの場合は、
キャラクターやブランドとの相性がよく、
比較的JVを仕掛けやすいジャンルです。
現在も、いくつかのお話しが進んでいますので、
また折をみて発表してきたいと思います。