2016 年 1 月 28 日 「安さ」が邪魔になるとき
世の中のあらゆる商品・サービスは、
「安いにこしたことはない」
と思っていませんか?
「いかに競合より安く抑えるか?」
に心血を注いでいませんか?
それを「まちがいだ!」と
言うつもりはありません。
が、この話を読んで
少し考えてみてください。
これは僕の友人が本当に体験した話です。
彼の実家(山口県)のお母さんが
還暦を迎えた時のことです。
還暦のお祝いに、
兄弟3人でお金を出し合い、
贈り物をすることになりました。
あれこれ協議した結果、
お母さんの大好きな
萩焼の茶器を贈ることに決まりました。
兄弟3人とも独立して実家を離れ、
一番近くにいる彼でも福岡在住で
気軽には帰れないので、
ネットの通販でさがすことに決めたんですが、、、
思ってるような品物が見つかりません。
一言でいうと「安すぎる」。
「ネットショップという性質上」と、
「業種的にネットに力を入れていない」
という2点が原因だと思うんですが、
せいぜい2~3千円で普段使い用の
大量生産品しか見つかりません。
「ナメるな」と・・・。
「金ならあるぞ」と・・・。
そりゃ社会人の大人3人が
母親の一生に一度の還暦を
祝おうとしてるんです。
日用消耗品なんて
眼中にありません。
ついに
「らちがあかん。萩行くぞ!」
ということになり、
彼が代表して山口・萩に行き、
直接さがし、
その足で萩市の隣町にある実家に立ち寄り、
お母さんに手渡してくる。
というプランを
実行に移すことにしました。
車で高速を飛ばして2時間。
着きました、萩。
やっぱり思った通り、
古くからの焼き物店が軒を連ね、
ネットとは比べものにならないほど
品揃えも価格帯も多種多様。
手間を惜しまず
現地まで足を運んだのは
大正解でした。
さっそく彼は、
その数あるお店の中でも
風格のある1店に入りました。
いつもなら入るのを躊躇するような
格式高い佇まいでしたが、
今回は事情が違います。
お店の人を呼んで、
気になった品物について
しっかり説明してもらい、
吟味します。
「これは13代にわたって受け継がれてきた業物で・・・」
「これは毛利のお殿様への献上を許された窯元の作品で・・・」
など、何やらよくわからんが、
値打ちのありそうなものが
次々と出てきます。
悩んだ挙句、結局その中で、
予算にフィットした、
お母さんが好きそうな色形の物を選び、
いざお会計へ。
とその時、
お店の人から信じられない
一言が飛び出しました。
「キャンペーンなので3割引になります」
・・・はぁ?
なんで?
その品物にその値段で納得したから
買おうと思ったのに、
なんでそんなことすんの?
価値下げちゃったよ。
親への贈り物がキャンペーン品って・・・
結局彼は、そのお店では買い物を
しなかったそうです。
この場合、
「安いにこしたことない」
ことないでしょ?
実際僕も、
「とにかく安く」
に取り憑かれていた時期があったので、
この話は感慨深いものがありました。
人の満足の基準は「安さ」だけではない。
価値を伝えて、その価値に見合った値段で売る。
当たり前のことだけど、
ついつい忘れて楽をしたがる部分。
お互い、気をつけましょう!