2016 年 2 月 1 日 しりとり先生
不思議なこばなしを仕入れたので、
どうぞ。
タイトル
「しりとり先生」
「今よろしいですか?」
「かまわんよ」
「よかった〜。
実は今さっき駅前の景気の良さそうな定食屋さんで
お昼食べてきたんですけど」
「毒でも入ってたかい」
「いやそんなわけないでしょ!
実はお会計の時にスタンプカードをもらったんですけどね?
これが奇妙なんです」
「スタンプカードがか?」
カードには3マスしか枠が無くて、
しかも1マス目には初めから
スタンプが印刷されてるんです」
「すぐたまりそうだね」
「ね?そうでしょ?
その上レジで店員さんが
すみません印刷ミスで1個入っちゃってますので、
お詫びに・・・』
とか言ってもう1個スタンプを押してくるんですよ」
「よかったじゃない
ということは3マス中2マス
埋まったカードをもらったわけだ」
「だから次行ったらもう満タンなんです」
「スゴイね。で、特典は?」
「はい、そこなんですけどね。
特典はなんと『定食無料』なんです!」
「すごく思いきったね、その定食屋」
「ヤケでも起こしたんですかね?
せっかく美味しいお店見つけたと思ったのに、
あれじゃすぐ破綻すると思うんですが・・・」
「・・・ガハハハハ!」
「はぃ?僕何かおかしなこと言いました?」
「大したもんだねそのお店。
心配しなくても潰れたりしないよ。
その証拠にキミ、あと2回は必ず行くでしょう?」
「うーん・・・
確かにリーチかかってるから
2回目行かないともったいないし、
タダになるから3回目は必ず行くでしょうね?」
「ね?逆にカードをもらってなかったら、
キミは2回目以降もそのお店に行ったかな?」
「なんとも言えないですけど、
『機会があれば行こうかな』
ぐらいの感じかな?と・・・」
「ということは、
機会を作ってまで行くことは
無かったわけだ・・・」
「・・・だんだん分かってきた・・・」
「大したもんだ。
そう、その一見奇妙なスタンプカードは、
キミに最低3回来店機会を与える装置だったってわけ。
店舗ビジネスでは3回来店させられれば、
リピーターになる確率が飛躍的に
高くなるって言われてるんだ。それと、、、
「と?」
「特典の『定食無料』ていうのも、
一見ヤケっぱちとも思える強烈な特典だけど、
実は3食分の1食を無料にしているだけだから
実際の割引率は約33%ほど。
しかも、
常連化する確率の高い3回目での特典だから、
今後キミがお店にもたらしてくれる売上を考えると、
むしろ安すぎる投資とも言えるんじゃないかな」
「ナンテコッタイ」
「いや、見事だねそのお店!」
「先生も行ってみて下さい」
「・・・行って・・・みるかな」
何時間か後、
「ごめん下さい」
「いらっしゃいま・・・
あ、先生!おかげさまで例の
スタンプカード作戦、
大成功でしたよ〜」
「よかったですね」
「狙い通り、
皆さんキツネにつままれたみたいな
顔して帰って行くんですけど、
ビックリするぐらいの確率でまた来てくれます!」
「素晴らしいですね。
大将が思いきって決断して
素直に実行したからこそですよ」
「よかったです、本当に。
ところで先生・・・
よかったら次は客単価を上げる方法を
教えていただきたいんですが・・・」
「ガツガツしてきましたね?
その意気です!
さっそく打合せに入りましょう」